任期満了に伴う富山県知事選挙は10月25日に行われます。
10月8日に告示され、届け出順で、新人で元ガス会社社長の新田八朗さん(62)、同じく新人でNGO代表の川渕映子さん(71)、そして5選をめざす現職の石井隆一さん(74)の3人が立候補しています。
半世紀ぶりの保守分裂選挙とされ、現職の石井さんと新人の新田さんが保守票を奪い合い、川渕さんが社民、共産の応援を受けて独自の戦いを進める構図になっています。
今回は、現職で5期目を目指す石井隆一さんの、
・経歴
・家族
・年収
・選挙結果など
について記事をまとめてみたいと思います。
石井隆一/富山県知事選挙の経歴は?
富山県知事選挙に立候補している石井隆一(いしい たかかず)さんの経歴は次の通りです。
生年 月日:1945年12月15日
出 身 地:富山市
出 身 校:東京大学法学部
趣 味:スポーツ(サイクリングなど)、演劇鑑賞、読書
好きな言葉:好きな言葉:「一隅を照らす」
石井たかかずさんのHP
隆山会(石井たかかず後援会)のHP
石井たかかずさんの facwebook account
石井たかかずさんの twitter account
富山県知事選挙 立候補予定者討論会(9月26日)YouTube動画
石井たかかずさんは、1969年、東大法学部卒業後自治省(現総務省)に入省、1991年に静岡県総務部長、1994年に自治省財政課長、以後地方分権推進委員会事務局次長、自治省大臣官房審議会、同財政担当審議官、同税務局長、総務省自治税務局長など要職を歴任、最後に総務省消防庁長官に就任して2年間務め、2004年1月に退官しました。退官後市町村職員中央研修所学長をに就き、同年8月に富山県知事選出馬のため退職、11月に初当選を果たしました。
石井たかかずさんは、事務次官には届かなかったにしても、消防庁長官という総務省組織の言わば頂点の1つまで上り詰めました。そして得票率から見る限り、さほどの苦労もない選挙で知事に当選しています。まさに霞ヶ関官僚の生涯モデルのような経歴を歩んできているといえます。
霞ヶ関は霞ヶ関でも、総務省出身という点が、県知事にはうってつけの経歴だと言えます。しかも石井たかかずさんは、地方分権改革推進委員会の事務局次長も務めており、約500本とも言われる分権改革一括法の改正に関わっていたを思われます。良いも悪いも、可能性も限界もきちんと踏まえて、分権改革の4年目から富山県政を引き受けることになりました。
知事1期目は、構造的な財政赤字解消のため財政改革に力を入れ、就任時400億円あった赤字を解消します。経済政策では地域活性化を目的に起業家育成のため「とやま企業未来塾」を開塾しました。また生活・環境面では、全国で初めて全県下でレジ袋無料配布を廃止し、これは全国的に有料化のモデルとなりました。
2期目は、霞ヶ関の幅広い人脈を駆使して、北陸新幹線の富山県への延伸を実現し、併せて負担額の大幅軽減を図りました。経済政策では、富山県のものづくりのさらなる発展を目指して産・学・官連携による「ものづくり研究開発センター」を設立し、また子育て家庭の負担軽減を目的に各種保育サービス等の利用券「とやまっ子 子育て応援券」を制度化しました。
3期目の成果は、まだ記憶に新しい「G7富山環境大臣会合」の開催。現4期目は、富山米の新品種「富富富(ふふふ)」の開発、販売、また産学官連携によるさらなる産業振興、新産業の育成、研究開発拠点作りの取り組みなどが進んでいます。霞ヶ関官僚出身知事として、その経歴を遺憾なく発揮してきた16年だと得ます。「失政がない」とうのが周囲の一致した評価だとされています。
今回の5期目、石井たかかずさんは新人候補の新田八朗さんに一ヶ月遅れて出馬を表明しました。5つの約束として、先端技術による産業育成、北陸新幹線の早期大阪延伸、立山黒部と富山湾の世界ブランド化などを最重点公約として掲げています。
石井隆一/富山県知事選挙の家族は?
石井たかかずさんの家族は、高岡市出身の妻・志保子さん、長男と紹介されています。お孫さんの情報はありません。
石井隆一/富山県知事選挙の年収は?
石井たかかずさんは富山県知事の現職なので、
知事報酬は一ヶ月130万円、期末手当は年3.40ヶ月分となっています。
したがって、
年収は、130万円×12ヶ月 =1,560万円
期末手当は、130万円×3.40ヶ月分 = 442万円
合計で、2,002万円になります。
但し、今年度は、コロナ対策に充てるとして、5月から給与を20%、6ヶ月間減額、返上しています。
石井隆一/富山県知事選挙の選挙結果は?
これまでの県知事選の結果と得票率は次の通りです。
2016年選挙の得票率は、85.27% 当選(投票率35.34%)
2012年選挙の得票率は、89.79% 当選( 〃 38.66%)
2008年選挙の得票率は、85.30% 当選( 〃 41.44%)
2004年選挙の得票率は、78.07% 当選( 〃 37.27%)
石井隆一/富山県知事選挙の引退の可能性は?
石井たかかずさんは、がんばって5期目に挑戦中です。
今のところ、引退するという情報は見当たりませんね。
まとめ
地域の発展を願って新しい知事を捜す人たちが真っ先に思い浮かべる適任者は、おそらく「地元出身霞ヶ関のキャリア官僚」です。そして、2番目が国会議員あたりでしょうか。
16年前、現職の引退で新しい知事捜しを迫られた富山の人たちにとって、総務省を消防庁長官まで勤め上げ退職したばかりの石井たかかずさんは、もうこれ以上ないうってつけの、最高の適任者だったろうと思われます。霞ヶ関官僚といっても自治体行政を管轄する総務省のトップ官僚経験者だからです。行政のシステムに関する理解も、またなんといってその幅広い人脈も、富山県政の即戦力です。
そういう人物相手に互角に戦える候補者はいません。2004年の初選挙、石井たかかずさんは自民、民主、公明、社民の支持を受け、共産党系の新人候補に圧勝します。そして、この共産党系候補との選挙戦は以降前回まで4回続くことになります。
石井たかかずさんは、総務省トップ官僚の経験と人脈を遺憾なく発揮して、財政改革や北陸新幹線延伸、地域経済の活性化、また生活・福祉面でも富山の発展に努力してきたと言えます。しかしいかに有能な知事といえども、3期、4期と続くと周囲の人間関係も固定化しがちになり、気付かないうちにさまざま緩みも出で、些細なことでも反発をまねくようになります。そうなると、16年前石井たかかずさんを招聘した人たちのいちばんの魅力だった霞ヶ関官僚という経歴にすら、距離を感じる人たちも増えてきます。それに、なんといっても年齢です。58歳での初当選ですから、5期といえば高齢多選の弊害指摘は避けられないでしょう。
今選挙、最初に立候補を表明したのは新人の新田八朗さんです。新田さんの立候補の動きはそれ以前からあったはずですから、石井たかかずさんの表明がなぜ新田さんを追いかける形になったのか、支持団体である自民党県連の動きを見ていたというのは分かりますがどうもはっきりしません。
いずれにしても「担いでくれるのを待つ」という姿勢ではなかったのか、それは多選の奢りの表れといえますが、気になるところです。ホームページには、大きな活字で「石井たかかずを、もっと身近に!」とあります。新人ではあるまいし、5期をめざす現職のフレーズとは場違いな感じが否めません。
応援に駆けつけた麻生副総理が「年齢は関係ない。能力を買ってください。」と訴えたという報道もありました。また、今回、告示前に街頭演説を行っていたそうです。おそらく知事人生で始めてのことではないでしょうか。初選挙の時から、共産党系の候補を相手としてしか戦った経験がなく、今回はおそらく想像を超える厳しい選挙戦となっていると思われます。
経歴も実績も特に問題はないと思われます。支援体制も数だけは盤石です。人脈も健在です。自民党の野田聖子さん、片山さつきさんらが応援に駆けつけ、岸田文雄さんもメッセージを寄せています。間違いなく、ある程度の安定した県政は望めるでしょう。
もし今回弱点になっているとすれば高齢、多選、官僚OB、有権者の「飽き」でしょうか。現状維持・安定か、新風・改革・冒険か、富山県民はどんな選択をするのでしょうか。