任期満了に伴う高岡市市長選は、2021年06月27日告示日2021年07月04日投開票で行われます。
共産党呉西地区委員会は6月2日の会見で、独自候補の擁立断念と、自主投票を発表した模様です。
これによって候補は元テレビ朝日社員の出町譲氏、前高岡市教育長の米谷和也氏、元高岡市議会議員の角田悠紀氏の3人に絞られました。
ここでは
出町譲氏の
・経歴
・学歴
・ご家族
・年収
・実績や評判
・公約
・その他
についてお伝えいたします。
立候補の意思が固まったこの3氏、いずれも自民党高岡市連の推薦候補者選考に応募した経緯を持ちます。
市連は4月、幹部による投票によって米谷氏の推薦を決定しました。
しかし、市連や党支持者が納得したわけではありません。
内部的には「揃って米谷氏を推薦する」という動きにまとまることはなく、分裂を免れなくなっています。
保守分裂の三つどもえの対決になってしまいました。
出町譲氏は、この難しい選局を、どう勝ち抜いていくのでしょう。
出町譲/高岡市長選挙の経歴は?
4月から始めて、どんどん顔の色が黒くなってます…
朝起きると、チャンネル登録者が1人2人と増えてるのが嬉しいです!https://t.co/Q2uEtuHMdp pic.twitter.com/chhEy8BjWq— 出町ゆずる (@demachi1111) May 17, 2021
出町譲氏は、90年時事通信社入社し、ニューヨーク特派員を経て、2001年テレビ朝日入社しました。
経済部、報道ステーションを経て、情報番組「グッド!モーニング」のニュースデスクも勤め、全国的にみても知名度は上々です。
富山県高岡市生まれで、成美小学校から志貴野中学校に進学するなど、今回の立候補は「地元民」として受け入れられてもおかしくありません。
なぜ自民党の推薦候補者から漏れてしまったのでしょうか。
これは「長い東京暮らし」が関係しています。
いわゆる「落下傘候補」と見られてしまったのです。
選挙を勝ち抜くために必要な「ジバン(地盤)、カンバン(看板)、カバン(鞄)」の3つのバンのうち、地盤が圧倒的に足りないと考えられています。
出町譲氏の経歴を、簡単な表にまとめてみましょう。
名前 | 出町譲(でまち ゆずる) |
---|---|
生年月日 | 1964年10月19日 |
出身地 | 高岡市京町生まれ |
最終学歴 | 早稲田大学政治経済学部政治学科 |
職業(前職) | テレビ朝日に20年勤務 |
趣味 | 情報がありませんでした。 |
大学を卒業し、1990年に、時事通信社へ入社しました。
時事通信社は戦前の、同盟通信社です。
国策会社であった為、GHQから特権をはく奪され、共同通信社と時事通信社との分裂を余儀なくされました。
出発時に悶着あった会社は、その後も伸びにくいというジンクスの通り、時事通信社は、何かにつけてすっきりとはいかない歩みを続けることとなります。
そんな時事通信社でニューヨーク特派員まで務めた出町譲氏でしたが、2001年テレビ朝日への入社を決めました。
1990年代は、時事通信社にとって受難の年であり、多くの社員が退社しています。
出町譲氏も籍を置いていた日銀担当の社員の中から過労死の認定を受けた方が出た、という話題が浮上したのも、この時期でした。
辞めた社員の中の一人に、出町譲氏もいたのでしょうか。
ただし、「仕事がきついから」「報われないから」といった理由ではなかっただろうと考えられるフシがみられます。
会社の体制へ反旗を翻したといった方が、近いかもしれません。
テレビ朝日入社後は経済部、報道ステーションを経て、情報番組「グッド!モーニング」のニュースデスクも務めました。
東日本大震災をきっかけに執筆活動にも、力を注いでいます。
出町譲/高岡市長選挙の学歴は?
東京暮らしが長い出町譲氏ですが、高岡市で生まれ、高岡市立成美小学校から高岡市立志貴野中学校に進学しました。
出身高校は?
富山県立高岡高校を卒業しています。
偏差値は68程度ですので、在校生は東大や京大、その他日本最高峰の大学へ進学するポテンシャルを有していると考えてよいでしょう。
富山では、誰でも知っている高校の一つです。
出身大学は?
早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業しています。
この頃からすでに、ジャーナリストとなることを見据えていたのかもしれません。
出町譲/高岡市長選挙の家族は?
2017年の高岡ライオンズクラブの定例会に、ゲストスピーカーとして呼ばれた折、奥様が同席していました。
少なくとも既婚者だということは、ここからわかりました。
オフィシャルウェブサイトの中に、「出町じぃちゃんからのメッセージ」というコンテンツがあります。
生い立ちと共に、なぜ会社を辞めて高岡市に戻ってきたのかの経緯も、「出町じぃちゃんが語る」という体裁で書かれています。
じいちゃんは、出町譲氏ご自身なのでしょうか。
なんとなく「奥様がガンの闘病生活にお入りになって、長男も次男も、介護のために高岡に帰ってきた。」ということは伝わりました。
多分、出町譲氏が夫です。
夫婦で高岡に戻り、そこに息子2人も戻ってきて、元々の家族の単位で余生を過ごさせたということでしょう。
半年間、家族4人で生活をし、奥様は天国に旅立たれたとのことでした。
49日が終わり、自分の余生は高岡市にささげることを心にお決めになったということなのでしょう。
シンガポールにいた次男のご子息は、介護のために職を辞して日本に戻ってきたとのことでした。
推測にすぎませんが、立候補する出町譲氏を助けるためもあったのではないでしょうか。
「じいちゃん」は、出町譲氏ご自身で、お孫さんを含む、未来を担う高岡の子供達に向けたメッセージなのですね。
出町譲/高岡市長選挙の年収は?
長くお勤めになったテレビ朝日の男性社員平均年収は、1,022万円だそうです。
50代のアッパーミドル階層となると、平均1,685万円程度の年収。
出町譲氏は、おおよそこのクラスに位置するのではと考え、予想ではありますが年収1,600万円のラインと判断しました。
出馬準備のため、テレビ朝日は退社しています。
出町譲/高岡市長選挙の選挙の実績や評判は?
全国放送のテレビ局のニュースデスクであっても、タレント候補の様に有名という事でもありません。
お顔を見て「どこかで見たことがあるなぁ」といった程度の人も多いかもしれません。
出町譲氏の選挙活動は、実に多彩です。
ユーチューブチャンネルでクオリティの高い動画を配信し、ツイッターやLINEで、リアルタイムに情報を発信しています。
出馬表明前から、地道な活動と研究を重ねてきました。
各地で「テレビ朝日ニュースデスク」「経済ジャーナリスト」として、講演も行いました。
人気のテーマは「地方創生には熱狂リーダー不可欠」「第三の奇跡は地方創生」です。
北日本新聞に掲載されていたコラム「現場発ジャーナリストが見た地方創生」は、様々な業界でも話題になるほど、秀逸なものだったようです。
数々著した書籍の中で、今特に注目は「現場発!ニッポン再興 ふるさとが「稼ぐまち」に変わる16の方法」(晶文社)です。
地方再生の道を示した著作です。成功事例の中に、高岡の鋳物メーカー「能作」も名を連ねています。
出町譲氏の選挙活動は、振り返れば「あれが選挙活動の始まりだったのか」と気が付きます。
しかし「票集め」というものではなく、「どれだけの研究を重ねてきた人なのか」という刷り込みです。
「出町氏に託せば、何とかなるのではないか」、市井の人々はそう感じてきていたようです。
またこの間に、多くの人脈も作り上げていました。
ご自分のお立場を、存分に利用していました。これは悪いことではありません。むしろ良いことです。
学者の見識と現場の機動力、この両方を持ちえた候補と期待が寄せられます。
出町譲/高岡市長選挙の選挙の公約は?
オフィシャルウェブページ
「しがらみとの対決ですよね。政治の主導権を一部の人から市民に取り戻すんです。これを市民の方と一緒に取り組んでいきたい」これがスローガン「脱しがらみ 脱なれあい さあ市民が主役の高岡に!」を掲げた意図です。
スローガンを支える指針は
・いきいきした高岡再興
・人口減少社会を見据えた 行政運営
続いて市民が主役の高岡を軸とした6つの重点政策を発表しました。
・行政の見える化・スリム化と地域創生
・市民に優しい、持続可能な都市経営
・女性・子どもが、はつらつと暮らせる環境づくり
・女性副市長の登用
・地域ブランド化と ITを使った独自の経済活性化
上記を早急に取り組む課題として掲げました。
特に40歳以下の女性の割合が男性よりも少ないことを問題視しています。
女性副市長の登用の約束は、女性の声を市政に反映しやすくすると同時に、女性がジェンダーの壁によって目指す道が閉ざされないことを示したものと考えられます。
出町譲/高岡市長選挙の選挙の立候補した理由は?
ユーチューブ・出町譲チャンネルより
高岡市に民主主義を!といったところでしょうか。
前回の市長選で、出町譲氏は出馬を打診されました。
どこから打診されたのか明らかにされている記事を見つけられませんでしたが、この選挙は、選挙前にすでに「次期市長は現職」と決まっていたようなものでした。
実際には告示から投開票と、ちゃんとした手順は踏まれますので、他の立候補者が立てば、「決まった」とはなりません。
しかし高岡市は自民党高岡市連が強く、他の政党や無所属の候補者も立たない状況だったのでしょう。
もともと富山県自体が、自民党支持者の割合が他県と比べ、著しく多いとされている県です。
定数1名のところに1名しか立候補しないならば、そのまま無投票で決まってしまいます。
新聞は、選挙の半年以上前に「高岡市の市長選は終わった…」と報じました。
「ほかの人が出馬するのは無謀なこと」と思われるほど、現職の守りは鉄壁だったのです。
出町譲氏は「高岡市に民主主義はないのだろうか」と、憤ります。とはいえ、この時、出町譲氏は出馬していません。
おおよそどんでん返しなどはなく、そのまま現職が圧倒的勝利を収めるのですが、それでも出馬するのは偏に民主主義を貫くためです。
「国民の権利である選挙を成立させる」ための立候補です。奇跡などを信じて立候補したわけではありません。
出町譲氏も、故郷高岡市のこの状況を、危機感を持って見つめたのでしょう。
時系列から察するに、「出馬しないか」と打診された2017年、出町譲氏は高岡市に住んではいませんでした。
出馬の打診は「高岡市に戻って、この町を変えてほしい」という要望であったのかもしれません。
ほんの4年前までは、動きの全くない市政でした。
出町譲氏は、ここから全国の自治体の取材を始めます。
財政が破綻した町で奮闘する若き市長や、冷え切った町を再生するために市政と市井の人々がともに頑張る姿です。
その後、風向きが変わります。
2017年11月、北日本新聞が「高岡市の40億円にも上る財源不足」をすっぱ抜きました。
先んず7月に市長選、10月に市議会議員選挙がおこなわれ、にもかかわらず、財源不足の話題は表沙汰になることがなかったのです。
知らなかったんだろうか、それとも隠したのだろうか。出町譲氏は、また釈然としない思いを抱きます。
市民もまた、市政に不信感を抱き始めました。
2020年に行われた富山県知事選において、5選を目指して出馬を表明した当時の現職石井隆一氏が、自民に推薦を求めるも断られた新田八朗日本海ガス社長に負けるという事態が起こりました。
保守分裂の挙句の話で、元総務官僚同士であった高橋正樹高岡市長は、明日は我が身を悟ったのでしょう。
関連性は否定しつつ、高橋現市長は当選すれば4期目となる2021年の市長選への不出馬と引退を、早々に発表しました。
約40億円の財源不足の巻き返しを図る計画「財政健全化緊急プログラム」は5年計画であり、22年まで続くはずのもので、現在進行形です。
本来ならば「完達させてほしい」と訴える選挙戦を計画していたはずです。
危機的状況は、高松現市長のすぐそばまで迫っていました。
高橋市長の辞退を受け、次期市長の席は空席となりました。
誰が後釜となってもおかしくありません。戦局は、全く読めなくなりました。
この機会に市政を変えなければ、高岡市は変わらないという切羽詰まった思いもあるでしょう。
この一連が、出町譲氏を立候補へと駆り立てた、大きな理由であると考えられます。
出町譲/高岡市長選挙の選挙結果は?
高岡市市長選は、2021年06月27日告示日2021年07月04日投開票ですので、まだ結果は出ていません。
しかし、下馬評は「かなり優位」とされています。
ここで出町譲氏も言われている「落下傘候補」について、おさらいしておきましょう。
選挙時における党の方針等によって、その土地に所以のない立候補者を立てるということもあるものです。
また「当選しやすいから」ということで、立候補地が選定されるということもあるでしょう。
一概に不正とは言えませんが、不正が起こらないとも限りません。
新興宗教団体が、過疎化が進む村で自治を試みた例も、さほど記憶に遠くはありません。
そこで、最低限の防衛策として、住民要件を設けています。
選挙権は18歳以上であれば日本国民のだれでも有していますが、実際に選挙に投票するためには選挙人名簿に登録されていないとできません。
引っ越してきたタイミングによっては、今回は引っ越し先での投票が叶わないということもあります。
被選挙権もまた要件がありますが、選挙の種類によって違い、必ずしも住民登録が一定期間を有していなくても可能な場合もあります。
簡単な表にしましょう。
◎選挙権及び被選挙権の住所要件
選挙の種類 | 選挙権 | 被選挙権 |
---|---|---|
市区町村長選挙 | 満18歳以上の日本国民であって、尚且つ引き続き3か月以上その市区町村に住所を有する者であること | 日本国民であって満25歳以上の人 |
市区町村議会議員選挙 | 満18歳以上の日本国民であって、尚且つ引き続き3か月以上その市区町村に住所を有する者であること | 市区町村議会議員の選挙権を有する人であって、満25歳以上の人 |
都道府県知事選挙 | 満18歳以上の日本国民であって、尚且つ引き続き3か月以上その都道府県内に住所を有する者であること及びそれらの者で1回だけ都道府県内の他の市区町村に住所を移した者であること | 日本国民で満30歳以上の人 |
都道府県議会議員選挙 | 満18歳以上の日本国民であって、尚且つ引き続き3か月以上その都道府県内に住所を有する者であること及びそれらの者で1回だけ都道府県内の他の市区町村に住所を移した者であること | 都道府県議会議員の選挙権を有する人で、満25歳以上の人 |
衆議院議員選挙 | 満18歳以上の日本国民 | 日本国民であって満25歳以上の人 |
参議院議員選挙 | 満18歳以上の日本国民 | 日本国民であって満30歳以上の人 |
住民要件が設定されている選挙に関し、住民登録しているだけでなく、客観的な居住実態があることが必要です。
今回の出町譲氏に関しては、3か月以上高岡市に在住した上での立候補であります。
この住民要件が選挙権及び被選挙権において設定されていることで、選挙のために一時的に住民登録をして選挙に勝つような事態が起きることを排除しました。
知事や市長が住民要件を設定されていないことに不思議を覚えるかもしれません。
これは、「お殿様」を想像するとなるほどと納得できます。
お殿様は、幕府の辞令によって、全く所以がないところに赴任させられるということもありました。
中央との太いパイプを持つことで、その藩が発展し、地域住民が救われるということも少なくはなかったのです。
知事は現在も、地方自治と国を結ぶ調整役としての仕事も担っていますし、市長も同様です。
知事や市長が、必ずしも住民でなくてはならないということではないのは、そのためです。
ただ住民感情として「住民でもないのに」という不信感を抱くものです。
そこでおおよそは、住民登録をしています。
事実、1980年から2005年の合併まで兵庫県佐用郡南光町(現・佐用町)長を務めた山田健三氏(日本共産党)は、初当選の折、住民登録してから投票日まで3日間しかありませんでした。
選挙権は当然なし。しかし、町長選挙に当選しました。その後南光町長として25年間在任し続け、良い政治を行ったことで知られています。
住民要件を設置していたならば、このような良い首長を地域住民が得ることはできなかったのです。
代えがたい良いことがある時には、少々のデメリットを抱える覚悟で、法律は作られます。大きな網の中に、法律を存在させます。
例えば、生活保護受給詐欺を受けて、国民は「もっと厳しく」と言いますが、厳しくすれば、本当に必要な人を、今以上に救えなくなる可能性があります。
詐欺の可能性の排除に目を向けた法律を作るよりも多くを助け、詐欺は別儀として厳しく監視する方法をとるわけです。
ここでの場合、地方自治には「議会」があり、そちらには住民要件を設けているので、監視は出来ているのです。
出町譲/高岡市長選挙の引退の可能性は?
これからの人です。
その為に、研究を重ねて、挑んでいます。
引退はないでしょう。
まとめ
富山の保守分裂が止まらない!と言われる中での今回の選挙戦です。
自民党は「権威を守れるか」と、必死になりますし、しがらみとなれあいの排除無くして、明日の高岡はないと、他の候補も必死です。
住民もまた「40億円の財政不足」「財政破綻」を抱える市の住民として問題収束を願い、不死鳥のように再生することを信じています。
周辺地域の人々はおろか、国政もまた、固唾をのんで見守ります。
この高岡市長選は、高岡市だけの問題ではないようです。動向を見守りたいところです。